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なぜ、ワイナリーの背景まで語るのか?

「どのような場所や環境で、どんな人が、どのようにつくっているのか」

これはワインに限らず、飲料食品全般において関心が高まっていると感じます。

ワイナリーの背景を知って頂くことで、まずは「安心」をしてお愉しみ頂きたいという思いが1つ。

もう1つは「心と記憶に残るワインをサービスしたい」という思いから行っています。
これは、「レストランで美味しいワインを飲んでも全然覚えていない」と仰るお客様が多いと感じたことからヒントを得ました。

|記憶に残るワインにする

例えばこんなことがありました。

トスカーナ州で「ポデーレ・モナステロ」が生産する「ラ・ピネタ」というワインがありますが、エチケット(ラベル)には松の木が描かれています。

こちらを大変気に入られたお客様から、「この絵はどうして松が描かれているのかな」とご質問がありました。

「ラ・ピネタとは『松林』を意味し、葡萄栽培されている周辺が松林であることに由来しているらしいですよ」とお答えしましたが、言葉だけの説明ではどうしても抽象的。
人によってイメージされる情景が異なるため、このとき「記憶に残る」ご説明が出来たとは感じませんでした。

そこでもっと心を掴む説明は出来ないものかと考えたすえ、生産者や葡萄畑、醸造所などの写真を見て頂きながらワインをご説明する、と言う所に行き着きました。

ソムリエの使命

この説明方法がお客様からの反応が良く、「愉しく分かりやすい」「現地に行った気分になれた」とご好評のお声を頂き、席数が少ない当店だからこそ出来るこの解説法が、もっとワインを好きになって頂くきっかけになるのではと考え、背景をお伝えすることに力を入れております。

現在お写真を使った解説はグラスワインのみに留まりますが、いずれはボトルワインも含め、当店で扱う全てのワインをこのような形でご説明出来ればと考えております。

ワイナリー設立の物語や葡萄畑の情景、造り手の顔を知ると『共感』が生まれ、美味しいワインがより一層『心』と『記憶』に刻まれる1杯となる。

お客様がそんな1杯と出逢われ、「今日も美味しかった」のお言葉を頂戴できれば、ソムリエ冥利に尽きます。

生産者と消費者を繋ぐ架け橋となる、これもソムリエの使命の1つではないでしょうか。